仙腸関節障害|須坂市の殿部痛でお困りの方必見
仙腸関節障害
「長く座っていると骨盤が痛い」
「マッサージに行っても、腰やお尻周りの重だるさがすぐに戻ってしまう」
そんな症状に悩まされていませんか?実はその原因、腰の筋肉や骨ではなく、骨盤にある「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」のわずかなズレが原因かもしれません。
今回は、レントゲンでは見落とされがちな「仙腸関節障害」について分かりやすく解説します。
仙腸関節障害とは
仙腸関節は骨盤にある仙骨と左右の腸骨からなる関節で、二足歩行時には関節面が滑ることで負荷が受け流され,周囲の靭帯により衝撃を吸収するため、衝撃吸収材の役割をしています。
黒瀬大輔,村上栄一:仙腸関節痛の発生・慢性化のメカニズム,J.Spine Res 12: 808-813, 2021.

解剖学的に仙腸関節は前後の靭帯で構成されており、この関節は非常に動きが小さく、仙骨の前後への傾きが1〜4°、前後に3mm程度と極わずかな動きしかありません。
正木光裕:脊柱の運動学.身体運動学 関節制御機構と筋機能(市橋則明編)第1版 メジカルビュー社,東京,2017, pp340-378.
仙腸関節は大きな負荷をわずかな可動域で受けているため、関節のズレから機能障害を生じやすいとされています。仙腸関節障害の発症には高所からの転落による損傷や出産を契機とする他、不意な動きや繰り返しの動作など、微細な関節面のズレにより誘発されると考えられており、腰臀部痛における仙腸関節障害の割合は15~30%を占めるとされ老若男女に起こりうる疾患です。
黒澤大輔,村上栄一:仙腸関節痛の発生・慢性化のメカニズム,J.Spine Res 12, 808-813, 2021.
Schwarzer AC, Aprill CN, Bogduk N: The sacroiliac joint in chronic low back pain. Spine. 1995; 20 (1): 31-37
仙腸関節障害の症状
片方または両側の殿部痛が主症状で、時に下肢の痛み・しびれ、鼠蹊部痛が生じることもあります。

黒澤大輔,村上栄一:救急車で搬送された急性腰痛症に占める仙腸関節障害の頻度と臨床所見.整形外科 65(12):1132-1136, 2014.
仙腸関節障害の病態
3種類の病態メカニズムに分類されるとされています。
1)外傷による関節包・周囲靭帯の損傷
重量物を持ち上げることや追突事故、高所からの転落などの明らかな外傷を契機に発症した仙腸関節障害のうち、外傷性の後方靭帯・関節包の断裂が疑われる症例が散見されています。
外傷により不可逆的な関節のずれおよび周囲靭帯・関節包の損傷が生じたことで、仙腸関節痛が慢性化している可能性があるとされています。
Kurosawa D, Murakami E, Aizawa T, et al: Criteria for identifying technically difficult cases when performing sacroiliac intraarticular injections based on the grade of sacroiliac arthrogram. Pain Med. 2020; 21 (10): 2105-2110
2)関節腔内の炎症
仙腸関節の微小なズレが慢性的に持続すると、関節内の炎症を生じて難治化するとされています。
これは関節が長期間ずれていることにより、機械的刺激を受け関節炎が二次的に生じたものと考えます。
3)周囲靭帯付着部症
仙腸関節の動きは仙骨の前屈運動と後屈運動と、それに連動した腸骨の動きでで構成されます。
Kapandji IA: The Physiology of the Joints. vol 3. New York, Churchill Livingstone, pp64-65, 1974
徳山らは、仙腸関節周囲靭帯が日常生活で慢性的な緊張負荷が強いられた結果、強い腰痛の原因になり得ることに注目し、靭帯へのブロックとその緊張を緩和する姿勢指導を行って良好な効果をあげています。
徳山博士,徳山 周:長後仙腸靭帯ブロック効果により知りえたぎっくり腰の発症メカニズム.整形外科.2018;69:245-251
仙腸関節の動きと靭帯の緊張は連動していることから、慢性の関節のズレが続いた場合、靭帯に過剰な牽引力が持続的にかかり、難治性の靭帯付着部症が生じることがあります。
仙腸関節障害の治療
仙腸関節障害に対する治療の第一選択は保存療法であり、理学療法により対応することが多いです。
理学療法以外には、疼痛を軽減させることを目的にブロック注射や薬物治療。微細損傷部位の組織修復を促すことを目的に、衝撃波治療、局所の炎症を惹起させて組織修復を促すPRP治療などが用いられます。またコルセットなどによる外固定や手術加療も行われています。
しかし,これらの対処方法によって一時的に疼痛が軽減しても再発を繰り返してしまうため、根本的な原因と考えられる関節の「ズレ」に対して当院では、アプローチをおこなっています。
当院のアプローチ
1. カウンセリング

「どこが?」だけでなく、「いつ?、どんな時に?、どのような?、どんな動作で症状が現れるか?」を深くお伺いします。
・スポーツ活動のヒアリング:どんなスポーツ、ポジション、競技歴など、仙腸関節に繰り返し負荷がかかる要因を特定します。
・既往歴と症状の分析:過去の怪我や病気、現在の症状の経過を詳しく把握することで、仙腸関節以外の原因も鑑別し、施術の安全性を確保します。
・受診歴:施術歴(リハビリ歴)やレントゲンやMRI、CTなどの画像診断を受けているかをお聞きします。
2.姿勢・動作評価

姿勢・静的アライメント評価: 猫背、反り腰、骨盤の傾きなど、身体のバランスを分析し、症状との関連性をチェックします。
動作・動的アライメント評価:仙骨の動きやそれに伴う、腸骨・腰椎・股関節の動きを確認します。動作評価を通じて、どの筋肉や関節の動きが悪くなっているか(運動機能障害)を特定します。特に、腰椎の動きは仙骨との関連が深く、連動性(キネティックチェーン)を細かく評価します。
3.施術(徒手療法・運動療法)
当院では根本的な身体の使い方やバランスに着目して施術を行います。特に仙骨の動きの改善や、体幹筋に対して運動療法を行い、関節の「ズレ(モーターコントロール)」を改善することがポイントとなります。
徒手療法

(1)関節の「ズレ」に対して、仙骨や腸骨・股関節・腰椎の調整を行います。また徒手による関節の動きを誘導し、痛みの変化を注意深く観察します。それにより症状との関連が深い関節に対して最善のアプローチが可能になります。
(2)関節の「ズレ」を引き起こす筋肉に対してアプローチします。特に骨盤外在筋が過活動になっているケースが多いため、筋肉の緊張を抑える施術を行います。
(3)【2.姿勢・動作評価】から仙骨や腸骨・股関節・腰椎へ影響すると考えられる胸椎や肋骨・足部などの関節の動きに対してもアプローチを行います。
運動療法

↑骨盤内在筋のトレーニング
骨盤の安定としては骨盤内在筋である腹横筋や骨盤底筋が挙げられ、骨盤内在筋が活動し骨盤が機能的に安定した後に、骨盤外在筋が活動する筋収縮様式(モーターコントロール)が求められます。
もし骨盤内在筋の収縮の遅れや骨盤外在筋の過剰に収縮することによって、外在筋が内在筋よりも先に活動すると内在筋による安定性が低下し、関節のズレが生じ、仙腸関節周囲靭帯に負荷が増加します。そのため骨盤が不安定となる原因として骨盤内在筋の収縮の遅れを改善することが求められます。
金岡恒治, 森戸剛史, 江崎日奈子:仙腸関節痛の発生メカニズムに基づく評価と治療.J. Spine Res, 15(6):821-826, 2024.
※アプローチ内容は個人の症状によって異なります
さいごに
「長く座っているのがツラい……」「腰が重だるいけれど、レントゲンでは異常がないから付き合っていくしかない……」と諦めていませんか?
今回のご紹介した通り、仙腸関節障害はわずかなズレが原因であるため、画像診断だけでは見落とされやすく、一般的なマッサージで筋肉をほぐすだけでは根本的な解決に至らないケースが多々あります。
当院では、医学的エビデンス(論文や臨床知見)に基づき、あなたの骨盤が「なぜズレてしまうのか」という根本原因を徹底的に分析します。関節の調整(徒手療法)でその場の痛みを取り除くだけでなく、骨盤を支えるインナーマッスル(モーターコントロール)の再教育までをセットで行うことで、再発しない身体づくりをサポートします。
「長く座っているのがツラい」「どこに行っても良くならなかった」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの痛みの原因を一緒に見つけ出し、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。
