非外傷性肩関節不安定症|これって脱臼?須坂市の「肩のズレ感・ゆるさ」でお悩みの方必見
非外傷性肩関節不安定症
転んだりぶつけたりしてないのに
「肩がズレるような感覚がある…」
「肩が動かすとボキボキ鳴って不安定…」
このような自覚症状ありませんか?
これ生まれつき関節が緩い「非外傷性肩関節不安定症」かもしれません。
実は、この肩の不安定感は、単に「関節が緩いから」と諦める必要はありません。
今回は、なぜ外傷ないのに肩が不安定になるのか、その根本的な原因と、当院が考える改善へのアプローチについて分かりやすく解説します。
肩関節不安定症とは

骨頭が関節窩縁を乗り越えれば脱臼。乗り越える手前で元に戻れば亜脱臼と定義されています。
それに伴い肩が不安定な状態になったことを「肩関節不安定症」と呼びます。
・痛みや不安感などの症状を伴う脱臼・亜脱臼→不安定性(instability)=手術療法の対象
・症状を伴わない脱臼・亜脱臼→弛緩性(laxity)
肩関節不安定症は、一般的には外傷性と非外傷性とに分類されます。
▶︎外傷性肩関節不安定症は、外傷による解剖学的破綻が原因であり、上腕骨頭の陥没骨折(Hill-Sachs損傷)や関節唇関節包複合体損傷(Bankart 損傷)を認める反復性肩関節脱臼が多く見られます。そのため手術療法が必要となることがあります。
▶︎非外傷性肩関節不安定症は、転んだ… ぶつかった…など、明らかな外傷がなく、肩が不安定な状態を指します。
肩関節のゆるさは多方向に認められることも多く、自分自身で随意的に関節を外すことができたり、生活においても特定の動作で肩が外れることがあります。
そのため「動揺性肩関節」「随意性肩関節脱臼」「習慣性肩関節脱臼」「持続性肩関節亜脱臼」の4つの病態に分かれると報告されています。
黒田重史:非外傷性肩関節不安定症.日整会誌79:48-53,2005
発症年齢は、10代半ば以降から40代の幅広い年代で発症し、女性に多いとされています。
Lebe, M., Majed, A., Jaggi, A., et al. (2021). Atraumatic shoulder instability: patient characteristics, comorbidities, and disability. JSES International, 5(5), 940-945.
非外傷性肩関節不安定症の症状
症状としては多岐にわたり、肩関節痛、肩関節の脱臼感、肩関節の不安定感、肩関節の倦怠感などの報告がみられます。
川井誉清:肩関節不安定症に対する理学療法診断の進め方.理学療法38(1):19-26,2021
非外傷性肩関節不安定症の原因
非外傷性肩関節不安定症には、先天性と後天性の要因があります。
先天性:生まれつき全身の関節が柔らかく、肩関節を支える関節包や靭帯が伸びやすいために起こります。
Jaggi A, Lambert S. Rehabilitation for shoulder instability. Br J Sports Med. 2010;44(5):333-340.
後天性:日常の動作不良により繰り返し肩関節を支える関節包や靱帯が微細外傷を起こす。筋力低下が原因で関節がゆるくなります。
Rupp MC, Rutledge JC, Quinn PM, Millett PJ. Management of Shoulder Instability in Patients with Underlying Hyperlaxity. Curr Rev Musculoskelet Med. 2023;16(4):123-144.
肩甲上腕リズム
肩甲上腕リズムとは、腕を上げる際に上腕骨と肩甲骨が「 2 : 1 」の割合(上腕骨が 120° 、肩甲骨が 60° )で連動して動くことをいいます。この協調運動により、関節への負担を防ぎながら可動域を生み出しています。
▶︎肩甲骨の位置が悪いなることで上腕骨が下方に不安定性が生じます。
(例:猫背姿勢→胸椎後弯→肩甲骨外転・下方回旋・前傾→肩甲上腕関節の求心位不良→下方不安定性)
森原徹・他:Loose shoulderに対する診察と投球動作について.MB Orthop36(12):29-39,2023
▶︎腕を動かした際の肩甲骨の動きに伴う関節窩の軌跡を機能的関節窩と呼び、非外傷性肩関節不安定症の症例においては、肩甲骨の動きが減少しており、機能的関節窩は小さくなり肩関節は不安定になると述べている。
黒田重史:整形外科Knack &Pitfalls 肩関節外科の要点と盲点,文光堂東京,2008,pp234237
▶︎肩の肩甲骨周りの筋力の関係性においては、肩甲骨周りの筋力低下や動きの悪さを有するとされ、肩の筋力が低下すると報告されています。
井尻朋人・他:筋力低下の部位の違いによる肩関節最大等尺性収縮時の筋活動変化-開始肢位からの変化量に着目して-.関西理学15:3337,2015
POINT
肩甲骨の動きの悪さや筋力低下が肩関節を支える筋力を低下させ、肩が不安定になるということです!!
非外傷性肩関節不安定症の治療
治療方法としては、外科的治療の報告もありますが、自然治癒の報告もみられ、原則的には姿勢矯正や肩甲骨周囲筋の機能改善運動(筋力強化・動きの改善)、肩の増強運動などの保存療法を選択されることが多いです。
岩堀裕介・他:非外傷性肩関節不安定症に対する保存的治療.臨床スポーツ医学22(11):1379-1390,2005
黒田重史:非外傷性肩関節不安定症の疫学と保存療法.MBMedReha 157:127-131,2013
当院でのアプローチ
1. カウンセリング

「どこが?」だけでなく、「いつ?、どんな時に?、どのような?、どんな動作で症状が現れるか?」を深くお伺いします。
・スポーツ活動のヒアリング:どんなスポーツ、ポジション、競技歴など、肩に繰り返し負荷がかかる要因を特定します。
・既往歴と症状の分析:過去の怪我や病気、現在の症状の経過を詳しく把握することで、肩以外の原因も鑑別し、施術の安全性を確保します。
・受診歴:施術歴(リハビリ歴)やレントゲンやMRI、CTなどの画像診断を受けているかをお聞きします。
2.姿勢・動作評価

姿勢・静的アライメント評価: 猫背、反り腰、骨盤の傾きなど、身体のバランスを分析し、症状との関連性をチェックします。
動作・動的アライメント評価:肩のゆるさや肩の各方向の動きやそれに伴う、肩甲骨の動き・胸椎・肋骨・骨盤の動いを確認します。動作評価を通じて、どの筋肉や関節の動きが悪くなっているか(運動機能障害)を特定します。特に、肩甲骨は肩の不安定性に関連の深いく、連動性(キネティックチェーン)を細かく評価します。
3.施術(徒手療法・運動療法)
当院では根本的な身体の使い方やバランスに着目して施術を行います。特に肩甲骨の動きの改善や、肩・肩甲骨の周囲筋を鍛えることがポイントとなります。
徒手療法

① 動きの再学習→腕と肩甲骨の動きを再学習するため、背術者によるサポートのもと腕の動きを行います。
② 肩甲骨の位置改善→肩甲骨の位置を悪くしてします原因に対して、徒手療法を行います。
③ 姿勢改善→姿勢不良が肩甲骨の位置を悪くしてしまうため、姿勢不良の原因に対して徒手療法を行います。
トレーニング(運動療法)
肩の筋肉(回旋筋腱板)、肩甲骨周囲(僧帽筋中部線維,僧帽筋下部線維,前鋸筋)への筋力強化と肩甲骨動きの改善を目的として行います。

↑肩甲骨と肩の筋力トレーニング
また姿勢不良に対して、姿勢改善を目的とした運動を行います。

↑腹式呼吸を用いた体幹トレーニング
まとめ
「生まれつき関節が柔らかいから」「ぶつけたわけじゃないから」と、肩のズレる感覚やボキボキ鳴る不快感をそのままにしていませんか?
非外傷性肩関節不安定症の根本的な原因は、単に「関節の緩さ」だけではなく、姿勢不良や、肩や肩甲骨周囲の筋肉がうまく機能していないことにあります。身体のバランスを整え、正しい使い方を再学習させてあげることで、その不安定感は軽減していきます。
「このままで大丈夫かな…」と一人で悩まず、まずは一度当院の姿勢・動作評価を受けてみてください。不安のない心地よい日常生活を一緒に目指しましょう!
