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アキレス腱の痛み・違和感はなぜ起こる?アキレス腱症・アキレス腱付着部症の病態と最新メカニズム【専門家解説】

アキレス腱障害

「走ったりジャンプしたりするとアキレス腱が痛む」
「かかとの後ろ側を押すと激痛が走る」
「朝起きて最初の一歩目が痛い」
スポーツに励む若者から、ランニングを楽しむ大人まで、アキレス腱のトラブル(アキレス腱障害)に悩まされる方は非常に多くいらっしゃいます。アキレス腱障害は放置すると慢性化しやすく、最悪の場合は断裂に至ることもあるため、病態を正しく理解し、早期に最適なアプローチを行うことが不可欠です。

今回は、アキレス腱障害の分類や発症メカニズム、最新の研究文献に基づく病態、当院での対応策について詳しく解説します。

1. アキレス腱障害の分類(部位による違い)

アキレス腱障害は、主に解剖学的な位置関係や痛みの発生部位によって「実質部障害(アキレス腱症)」と「付着部障害(アキレス腱付着部症)」の2つに大別されます。

(Fireflyで生成)

アキレス腱障害
①実質部障害(アキレス腱症:Noninsertional Achilles tendinopathy):踵骨付着部から近位2〜6cmに発生(腱周囲炎・腱症)②付着部障害(アキレス腱付着部症:Insertional Achilles tendinopathy):踵骨隆起付着部に発生(腱症、滑液包炎、骨棘障害など)

① 実質部障害(アキレス腱症 / Noninsertional Achilles tendinopathy)

踵骨(かかとの骨)の付着部から近位2〜6cmの「実質部」と呼ばれるエリアに生じる障害です(Irwin, 2010; Roche & Calder, 2013)。特に若いスポーツ選手に多く見られ、腱周囲炎や腱症、あるいはその両方の合併例が存在します。

② 付着部障害(アキレス腱付着部症 / Insertional Achilles tendinopathy)

アキレス腱が踵骨にくっつく「付着部」自体に生じる障害です(Irwin, 2010; Roche & Calder, 2013)。付着部のアキレス腱症のほか、滑液包炎や骨棘(こつきょく:骨のトゲ)障害、ハグランド病など、多様な病態が含まれます。

どちらの障害も痛みや腫れ、押したときの痛み(圧痛)の部位によって鑑別が可能です。

2. なぜ起こる?アキレス腱障害の発生メカニズム

【アキレス腱症(実質部)のメカニズム】

▶︎血流の乏しさと構造的弱点

アキレス腱症が最も起こりやすい「踵骨付着部から近位2〜6cm」という部位は、生理的に血流供給が非常に乏しいことが知られています(Saltzman & Tearse, 1998)。さらに、アキレス腱の中で横断面積が最も小さい部位でもあるため(Kongsgaard et al., 2005)、走る・跳ぶといった反復ストレスが集中的に加わりやすい環境にあります。

▶︎アキレス腱の「捻れ構造」と「足部の過回内」

近年では、足部がかかとの外反(過回内)を起こした際に、アキレス腱内部の応力や**引き伸ばされる歪みが不均一になることが要因として重視されています。

(Fireflyで生成)

Lerschら(2012)の新鮮遺体を用いたバイオメカニクス研究によると、踵骨(かかとの骨)を外反(外側に倒す)させると、アキレス腱の近位(上部)では全域(内側・中央・外側)のストレスが減少する一方で、遠位(かかと寄り)では内側および中央成分の引っ張られる力が増加し、外側成分は減少するという「引き伸ばされ方の偏り(不均一性)」が確認されました(Lersch et al., 2012)。この不均一な歪みを生み出す要因として、アキレス腱独自の「捻れ構造」が挙げられています(Bojsen-Moller & Magnusson, 2015; Lersch et al., 2012)。

さらに、アキレス腱障害の症例では、歩行時やランニング時の立脚中期に後足部が外反(過回内)している傾向にあります(Donoghue et al., 2008)。これにより、アキレス腱の捻れがゆるんだ状態になり、そのタイミングで強い負荷が加わることで、**腱の一部だけに偏った引っ張り負荷(歪み)**が生じて損傷につながると考察されています(Donoghue et al., 2008)。

【アキレス腱付着部症のメカニズム】

アキレス腱付着部症(かかとの骨にアキレス腱がくっつく部分の痛みや炎症)がどのようなメカニズムで起きるのかについては、現在も専門家の間で議論が続いています。主に以下の2つの視点から考えられています。

(Fireflyで生成)

  • 画像検査から分かること(前方への負担説) MRIなどの画像を見ると、アキレス腱の「前方(かかとの骨に近い側)」に病変がよく見つかります。そのため、足首を動かすときにこの前方部分へ繰り返しストレスが集中し、炎症を引き起こすと推察されています(Irwin, 2010)。

  • 動きの分析から分かること(後方への負担説) 一方で、足首を上に反らせる動作の仕組みを調べたバイオメカニクス研究では、前方よりも「後方(皮膚に近い側)」のほうが、より強く引っ張られて大きな負荷がかかるという報告もあります(Lyman et al., 2004)。

このように、「アキレス腱のどの部分に最も強い負荷がかかって発症するのか」という詳細なメカニズムについては、まだ意見が分かれており、現在も研究が続けられています。

3. アキレス腱症・付着部症の病態とリスク要因


① 腓腹筋(ふくらはぎ)の拘縮と柔軟性低下

アキレス腱障害の病態には、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)の拘縮による足関節背屈可動域の低下が深く関わっています。

腓腹筋が固くなると、アキレス腱付着部に過度な牽引力がかかるだけでなく、歩行時に踏み返す際、足の中央部(中足部)への負荷が増大し、足底腱膜付着部にも強い牽引力が波及します(Monteagudo et al., 2018)。

状態の評価基準 判定

膝関節伸展位で足関節背屈可動域が 5°未満
かつ膝関節屈曲位にすると足関節背屈が 10°を超える

腓腹筋単独の拘縮と判定(Nawoczenski et al., 2015)

② 組織学的な変性(腱症)と断裂のリスク

アキレス腱症では、組織学的に以下のような変性所見が見られます(Kannus & Jozsa, 1991)。

  • 膠原線維(コラーゲン)の折れ曲がりや途絶

  • 粘液変性・脂肪変性

  • 組織への石灰沈着

  • 内腔狭窄などの血管病変

このような変性が高度に進行すると腱断裂のリスクが高まり、実際のアキレス腱断裂例では、断裂部以外の部位(近位および遠位)においても高度な変性が認められています(Maffulli et al., 2011)。

③ 発症に関与する「外的因子」と「内的因子」

アキレス腱の変性を引き起こす病因には、外部からの負荷と身体内部の要因が存在します。

分類 主な要因とリスク
外的因子

・スポーツ等での過負荷(オーバーユース)

・腱に生じた微小損傷の修復不全

※運動を継続すると変性が進行し断裂のリスクが高まるため、初期治療介入が極めて重要。

内的因子

・年齢、性別、体重(肥満など)

・内科的疾患(脂質異常症、腎臓病など)

・薬物歴(ステロイド薬、ニューキノロン系抗菌薬の使用歴)

※特に併存症や服薬歴、脂質異常症のチェックには十分な注意が必要です。

4. 保存療法と当院(須坂トータルケア整骨院)のアプローチ

アキレス腱障害治療の原則は保存療法です。
特に「アキレス腱付着部症」においては、大きな骨棘(骨のトゲ)を伴う例など、通常の保存療法に反応しにくいケースも存在するため、病態を正しく見極めることが重要です。
当院では、単に痛むアキレス腱だけを揉みほぐすのではなく、理学療法・バイオメカニクスの視点に基づいたトータルケアを提供いたします。

当院の根本改善・再発予防アプローチの詳細

アキレス腱の違和感や痛みを繰り返さないために、当院では以下の3つのステップで局所と全身の両面からアプローチします。

1. 腓腹筋・アキレス腱の柔軟性改善(局所アプローチ)

  • 手技・ストレッチによる拘縮の解除: 固くなっているふくらはぎの筋肉(特に腓腹筋)やアキレス腱周囲の癒着を丁寧に取り除き、足首の曲がりやすさ(背屈可動域)を取り戻します。

  • ストレスの軽減: 可動域が広がることで、歩行や走行時にアキレス腱へかかる過度な引っ張り(牽引ストレス)を直接和らげます。

2. アライメント(足部の歪み・過回内)の補正

  • 「ねじれ」のストレス対策: 歩く・走るときに、かかとが内側に倒れ込んで足部が過剰に内側に歪む動き(過回内)をチェックします。

  • トータルサポート: 足指や足関節のバランス調整に加え、日常の負担を減らす適切なインソール(靴の中敷き)の指導、ご自宅でできるセルフケア方法をご提案します。

3. 全身の運動連鎖チェック

  • 偏った負荷の原因究明: アキレス腱だけに負担が集中する原因は、足元だけでなく、骨盤や股関節、膝の硬さや動かし方にあることが少なくありません。

  • 身体全体の連動性向上: 下半身全体の連動性(運動連鎖)を評価し、スムーズに力を分散できる効率的な身体づくりのトレーニングをサポートします。

    さいごに

    アキレス腱の痛みや違和感は、「そのうち良くなるだろう」と無理を続けてしまうことで、組織の変性が進行し、復帰までに長い時間を要してしまうケースが少なくありません。
    当院では、硬くなったふくらはぎの柔軟性を取り戻す局所的なケアだけでなく、足元の歪み(過回内)や、股関節・骨盤を含めた全身の「運動連鎖」に着目し、根本的な改善と再発予防を目指した施術を行っています。

    • 「朝の一歩目が痛む」

    • 「運動中にアキレス腱のあたりが気になる」

    • 「なかなか痛みが引かず、スポーツへの復帰に焦りを感じている」

    このようなお悩みをお持ちの方は、症状が慢性化してしまう前に、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの身体の状態に合わせた最適なアプローチで、不安なく動ける身体づくりを全力でサポートいたします。

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    引用文献・参考文献
    Bojsen-Moller J, Magnusson SP. Heterogeneous Loading of the Human Achilles Tendon In Vivo. Exerc Sport Sci Rev 43: 190-197, 2015.
    Donoghue OA, Harrison AJ, Coffey N, Hayes K. Functional data analysis of running kinematics in chronic Achilles tendon injury. Med Sci Sports Exerc 40: 1323-1335, 2008.
    Irwin TA. Current concepts review: insertional achilles tendinopathy. Foot & Ankle International 31: 933-939, 2010.
    Kannus P, Jozsa L. Histopathological changes preceding spontaneous rupture of a tendon. J Bone Joint Surg Am 73: 1507-1525, 1991.
    Kongsgaard M, Aagaard P, Kjaer M, Magnusson SP. Structural Achilles tendon properties in athletes subjected to different exercise modes and in Achilles tendon rupture patients. J Appl Physiol 99: 1965-1971, 2005.
    Lersch C, Grotsch A, Segesser B, Koebke J, Bruggemann GP, Potthast W. Influence of calcaneus angle and muscle forces on strain distribution in the human Achilles tendon. Clin Biomech (Bristol, Avon) 27: 955-961, 2012.
    Lyman J, Weinhold PS, Almekinders LC. Strain behavior of the distal achilles tendon: implications for insertional achilles tendinopathy. Am J Sports Med 32: 457-461, 2004.
    Maffulli N, Longo UG, Maffulli GD, et al. Marked pathological changes proximal and distal to the site of rupture in acute Achilles tendon ruptures. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 19: 680-687, 2011.
    Monteagudo M, de Albornoz PM, Gutierrez B, et al. Plantar fasciopathy: a current concepts review. EFORT Open Rev 3: 485-493, 2018.
    Nawoczenski DA, Barske H, Tome J, et al. Isolated gastrocnemius recession for Achilles tendinopathy: strength and functional outcome. J Bone Joint Surg Am 97: 99-105, 2015.
    Roche AJ, Calder JD. Achilles tendinopathy: A review of the current concepts of treatment. Bone Joint J 95-B: 1299-1307, 2013.
    Saltzman CL, Tearse DS. Achilles tendon injuries. J Am Acad Orthop Surg 6: 316-325, 1998.
    平井佳宏, 安田稔人, 藤原憲太. 下肢の痛みアキレス腱症の痛みを血行動態で可視化. 臨床スポーツ医学 40: 1046-1051, 2023.
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資格 :理学療法士(国家資格) 2017年 専門学校卒業 理学療法士免許取得/整形外科勤務・ 自費整体・整骨院に整体師として勤務後開業

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