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運動療法とは?どんな効果が期待できる?医学的エビデンスを理学療法士が解説

運動療法とは?どんな効果が期待できる?
医学的エビデンスを理学療法士が解説

「腰や膝が痛いのに、運動しても大丈夫なの?」
「痛みがあるなら、なるべく動かさず安静にした方がいいのでは?」
「整体やマッサージを受けているのに、なぜ運動まで必要なの?」
患者さんから、このような質問をいただくことがあります。
痛みがあると「動かしたら悪化しそう」と考えるのは自然なことです。
しかし近年、腰痛や変形性膝関節症などの運動器疾患に対して、適切な運動を行う「運動療法」の重要性が多くの研究で明らかになってきています。
実際、日本整形外科学会などが関わる診療ガイドラインでも、疾患によっては運動療法を「強く推奨」しています。
今回は、運動療法とはどのような治療なのか、どんな効果が期待できるのかについて、国内外の診療ガイドラインや研究をもとに理学療法士がわかりやすく解説します。

そもそも「運動療法」とは?

運動療法というと、「筋トレをする」「スクワットをする」「ストレッチをする」
といったイメージを持つ方が多いかもしれません。
もちろん筋力トレーニングやストレッチも運動療法の一つですが、それだけではありません。

患者さんの身体の状態や症状、生活環境などを評価したうえで、目的に合わせて身体を動かしていくことが大切です。

例えば、
・筋力を改善する運動
・関節の動きを改善する運動
・柔軟性を改善する運動
・バランス能力を改善する運動
・持久力を高める運動
・日常生活で必要な動作を練習する運動

など、さまざまな方法があります。
つまり運動療法とは、単に「筋肉を鍛えること」ではなく、身体機能や日常生活動作を改善するために、目的を持って身体を動かす治療方法の一つなのです。

運動療法には医学的な根拠があります

ここが今回、最もお伝えしたいポイントです。
運動療法は「運動は健康に良さそうだから、とりあえずやってみましょう」という程度のものではありません。
さまざまな運動器疾患に対して研究が行われ、診療ガイドラインでも重要な治療方法として位置づけられています。
代表的なものを見てみましょう。

慢性腰痛では運動療法が「強く推奨」されている

日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修した『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』では、「腰痛に運動療法は有用か?」というClinical Questionが設定されています。
慢性腰痛に対する結論は、「慢性腰痛に対する運動療法は有用である」とされています。
さらに、エビデンスの強さ:B 推奨の強さ:1 と評価されています。
エビデンスBとは「効果の推定値に中程度の確信がある」という意味です。
そして推奨度1は「行うことを強く推奨する」という位置づけです。

つまり、慢性腰痛に対する運動療法は、日本の整形外科領域の診療ガイドラインでも強く推奨されているのです。

変形性膝関節症でも運動療法は「強く推奨」

運動療法が推奨されているのは腰痛だけではありません。
日本整形外科学会の『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』では、「変形性膝関節症に運動療法は有用か?」というClinical Questionに対して、「運動療法は、鎮痛、身体機能改善効果、日常生活機能改善効果を認め有用である」としています。こちらは、エビデンスの強さ:C 推奨の強さ:1(強い)となっています。「エビデンスCなのに、なぜ強く推奨されるの?」と思われるかもしれません。これは「エビデンスの強さ」と「治療としての推奨の強さ」は同じものではないからです。研究結果の確実性だけでなく、期待できる利益と不利益、患者さんの負担などを総合的に考えて推奨度が決定されます。変形性膝関節症についても、運動療法は鎮痛や身体機能、日常生活機能の改善が期待できるため、「実施することを強く推奨する」とされています。

なぜ運動すると痛みが改善するの?

では、なぜ運動療法によって痛みが改善するのでしょうか。
これは単純に「筋肉がつくから」だけでは説明できません。
運動によって、筋力や筋持久力の改善・関節可動域や柔軟性の改善・バランス能力の改善・日常生活動作の改善・身体活動量の増加など、さまざまな変化が期待できます。また、慢性的な痛みでは、身体の組織だけではなく、神経系による「痛みの感じ方」や、痛みに対する不安など、複数の要因が関係することがあります。そのため運動療法では、単に筋肉を強くするだけでなく、「この動作をしても大丈夫だった」「以前より歩けるようになった」「痛みがあっても身体を動かせる」という経験を積み重ねることも重要になります。

「痛みがある=安静にする」が正解とは限らない

もちろん、痛みがある人全員が積極的に運動すればよいわけではありません。
例えば、外傷直後や強い炎症が疑われる場合、骨折や感染症、腫瘍などの疾患が疑われる場合には、運動よりも先に適切な医療機関での診断・治療が必要です。
また、先ほど紹介した『腰痛診療ガイドライン2019』でも、慢性腰痛では運動療法が強く推奨されていますが、急性腰痛・亜急性腰痛に対する運動療法については「エビデンスが不明」とされています。つまり、「運動療法は効果がある」という情報だけを切り取って、痛みの原因や状態を評価せずに運動することも適切ではありません。大切なのは、「運動するか、しないか」だけではなく、「今の身体の状態に対して、どのような運動を、どのくらい行うのか」ということです。

どんな運動でも同じ効果が出るわけではありません

ここも非常に重要です。
慢性腰痛に対する運動療法には、筋力トレーニング、ストレッチ、有酸素運動、体幹運動など、さまざまな方法があります。
しかし「この運動をすれば全員の腰痛が改善する」という万能な運動が確立されているわけではありません。
膝についても同様です。
同じ「膝が痛い」という症状でも、筋力が低下している方、関節の動きが悪くなっている方、バランス能力が低下している方、歩行動作に問題がある方など、身体の状態は一人ひとり違います。だからこそ、身体を評価し、その人に必要な運動を選択していくことが重要になります。

「施術を受ける」だけではなく、自分の身体を動かすことも大切

整体やリハビリテーションというと、「身体をほぐしてもらう」「関節を動かしてもらう」といった、受け身の治療をイメージする方も多いと思います。
もちろん、症状や状態に応じて徒手的な施術を行うこともあります。
しかし、長期的な身体機能の改善を考えたときには、それだけではなく、患者さん自身が適切に身体を動かしていくことも重要です。
施術によって身体を動かしやすい状態をつくる。そして、その状態で必要な運動を行う。さらに、日常生活の中でも適切に身体を使えるようにしていく。このような流れが大切だと考えています。

須坂トータルケア整体院が運動療法を大切にしている理由

須坂トータルケア整体院では、単に痛みのある場所を揉んだり、ほぐしたりするだけではなく、身体の状態を評価したうえで必要に応じて運動療法を取り入れています。その理由の一つが、今回ご紹介したように、運動療法には医学的なエビデンスが蓄積されているからです。
特に慢性腰痛や変形性膝関節症などでは、日本整形外科学会などが関わる診療ガイドラインでも運動療法が強く推奨されています。
一方で、重要なのは「とにかく運動しましょう」ということではありません。
症状や身体機能、年齢、運動習慣、仕事内容、生活環境などは一人ひとり違います。
だからこそ、
「なぜ痛みが出ているのか」
「どの機能が低下しているのか」
「どのような運動が必要なのか」
を評価しながら、その方に合った方法を考えていくことが重要です。

まとめ

運動療法は、単なる健康法ではありません。
慢性腰痛や変形性膝関節症などでは、国内外の診療ガイドラインや多数の研究によって、その有用性が支持されています。
運動療法によって期待できるのは、筋力をつけることだけではありません。
痛みの軽減、身体機能の改善、日常生活動作の改善、活動量の回復など、さまざまな効果が期待できます。
一方で、すべての痛みに同じ運動を行えばよいわけではありません。
大切なのは、身体の状態を適切に評価し、「その人に必要な運動」を選択することです。
「痛みがあるから動かさない」のではなく、
「今の身体の状態に合わせて、適切に身体を動かしていく」。
これが、身体機能を改善していくうえで大切な考え方の一つです。

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参考文献
1.日本整形外科学会・日本腰痛学会監修.腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版.南江堂,2019.
2.日本整形外科学会.変形性膝関節症診療ガイドライン2023.南江堂,2023.
3.Hayden JA, Ellis J, Ogilvie R, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2021;9:CD009790.
4.Fransen M, McConnell S, Harmer AR, et al. Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database Syst Rev. 2015;1:CD004376.
5.World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. Geneva: WHO; 2023.
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資格 :理学療法士(国家資格) 2017年 専門学校卒業 理学療法士免許取得/整形外科勤務・ 自費整体・整骨院に整体師として勤務後開業

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