変形性膝関節症とは?膝痛でお悩みの方必見|痛みの原因をわかりやすく解説
変形性膝関節症
こんな悩み、一人で抱えていませんか?
「階段の下りが特に怖い」
「動き出しの一歩目がズキッとする」
病院で「加齢ですね」「軟骨が減っています」と言われ、湿布だけで様子を見ている。
このお悩み変形性膝関節症の症状かもしれません。
今回は変形性膝関節症の原因をわかりやすく解説します。
変形性膝関節症とは?
膝の軟骨が少しずつ減少して、変形したり骨がこすれて、痛みが起こる病気です。症状としては、痛みや水がたまる、こわばりなどが生じます。

男女比は、およそ 1:1.5~2 の割合で女性に多いとされています。40歳以上の有病率は、男性42.6%、女性62.4%です。
また変形性膝関節症は、O脚やX脚に変形や、変形に伴い骨棘(こつきょく)が形成され痛みの原因となります。

変形性膝関節症の診断は?
問診や診察時に触診で膝内側の圧痛の有無、関節の動きの範囲、腫れやO脚変形などの有無を調べ、X線(レントゲン)検査で診断します。必要によりMRI検査などをします。
X線(レントゲン)検査では、膝の変形度合いによって保存的治療が優先か、手術療法が必要かの治療方針が決定します。

(Kellgren JH et al,1957より作図)
grade1、2→保存療法適応 grade3、4→手術療法適応
膝に変形があったとしても、必ずしも痛みを生じるわけではありません。
痛みの原因は何?
変形性膝関節症の痛みの原因は大きく分けて4つあります。
1. 関節包と滑膜の炎症

膝関節は「関節包」という袋に包まれており、その内側には「滑膜」という膜があります。
メカニズム: 軟骨の削りカスが関節の中に散らばると、滑膜がそれを「異物」とみなして排除しようとし、炎症が起きます。
症状:これが「膝に水が溜まる(関節水腫)」状態です。この腫れによって袋が内側からパンパンに張るため、強い痛みを感じます。また関節包が炎症を経て線維化(硬くなること)を起こすと、膝を動かすたびに袋が引っ張られて強い痛みが出る(運動時痛)生じます。
2. 筋肉・腱・筋膜の緊張

膝を守ろうとして、周囲の筋肉が常に「過緊張」状態になることで痛みが生じます。
メカニズム: 膝が不安定になると、脳は「これ以上動かすと危険だ」と判断し、筋肉を硬くして関節を固定しようとします。
症状: 大腿四頭筋や内転筋が硬くなり、筋肉そのものから痛み(筋筋膜性疼痛)が発生します。また変形性膝関節症の患者において、膝の痛みが強いほど大腿四頭筋や内側広筋の筋硬度(筋肉の硬さ)が高いことを報告がります。
3. 骨膜への刺激
出典:AI生成画像(当院にて作成)
軟骨が完全になくなり、骨と骨が直接ぶつかるようになると、骨の表面を覆う「骨膜」に刺激がいきます。
メカニズム: 骨の表面にある骨膜には神経がびっしり通っています。Grade 3〜4の症例において、骨棘の形成過程や骨同士の衝突によって骨膜が刺激され、それが荷重時の鋭い痛みにつながることを指摘しています。
症状: 立ち上がった瞬間や、階段の上り下りでの「ズキッ」という鋭い痛みの一因となります。
4. 膝の「ねじれ」による組織の引っ張り

出典:AI生成画像(当院にて作成)
骨の変形が進むと、膝が正しく曲げ伸ばしできず、常に「ねじれ」が加わります。
メカニズム: 膝の内側の靭帯や、膝の裏にある神経・血管が無理に引き伸ばされます。
症状: 膝の裏の重だるさや、内側のピンポイントな痛みとして現れます。
▶︎筋肉・腱・筋膜の緊張や膝の「ねじれ」による組織の引っ張りにより痛みが生じるということは、それらの改善が痛いの軽減につながるということです!!
膝の自己診断(公益社団法人 日本理学療法士協会 編:理学療法ハンドブック シリーズ7 変形性膝関節症 引用)
(1)膝を曲げたりのばしたりしていると、膝の中でゴリッゴリッ、コツ、ギュッギュッといった音がする
(2)階段をおりているときに、不意に膝の力がカクンと抜けてしまう
(3)和式トイレのあと、立ちあがるのが苦痛。正座も苦痛である
(4)膝が完全にのびきらず、平らなところで足をのばしても膝の裏が床にぴったりつかない
(5)以前は「がにまた」ではなかったのに、「気をつけ」の姿勢をとると、両膝のあいだがこぶし1つ分離れる
(6)正座がまるっきりできない
(7)運動をし始めの時には膝が痛むが、続けていると痛みが取れていることが多い
(8)膝を曲げると、おさらの上が張った感じがして、少し膝が腫れている感じがする
(9)片手でふとももから膝に向けてしごいて、片方の手でおさら部分を押すと、おさらがコツコツ浮いた感じがする
(10)左右の膝のかたちが違う
(11)おさらが外側にずれているような感じがする
(12)膝がガクガクするので、いつも不安定
1~3の症状は、半月板という膝の軟骨が断裂したときによくある症状です。
4~7の症状は、変形性膝関節症と診断されることが多く、これは老化現象による症状です。
8~10の症状は、膝の中に水がたまっている可能性があります。変形性膝関節症や関節リウマチの典型的な症状です。
11~12の症状の場合は、膝の靱帯が切れている可能性があります。膝蓋骨亜脱臼や膝不安定状態のときによく見られます。
さいごに
「膝の軟骨が減っている」「骨が変形している」……そんな言葉を病院で聞くと、もう元には戻らないのではないかと不安になりますよね。しかし、今回ご紹介したデータが示す通り、「膝の変形」と「実際の痛み」は必ずしも一致しません。 骨にトゲが出ていても、軟骨がすり減っていても、膝を支える筋肉を柔軟にし、関節の「ねじれ」を整えることで、痛みなく歩けるようになる方はたくさんいらっしゃいます。膝の痛みは、体が発信している「これ以上、膝だけに負担をかけないで!」というサインです。当院では、膝そのものだけでなく、股関節や足首、そして全身のバランスを整えることで、膝への負担を根本から減らすアプローチを行っています。今後は具体的な当院で行なっているアプローチやホームエクササイズをご紹介します。次回の投稿もお楽しみに。
・公益社団法人 日本理学療法士協会 編:理学療法ハンドブック シリーズ7 変形性膝関節症.(参照 2026-03-01https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook07_whole_compressed.pdf
・吉村典子「変形性膝関節症の疫学:大規模住民コホート調査ROADより」『関節外科 基礎と臨床』Vol.38 No.6, 2019年.
・公益社団法人 日本整形外科学会「変形性膝関節症」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html
・Kellgren JH, Lawrence JS. “Radiological assessment of osteo-arthrosis.” Annals of the Rheumatic Diseases, 16(4): 494-502, 1957.
・Hannan MT, et al.Analysis of the discordance between radiographic changes and knee pain in osteoarthritis of the knee.Journal of Rheumatology, 27(6): 1513-1517, 2000.
・赤羽根信亮.変形性膝関節症における痛みのメカニズム.『理学療法』32巻10号, 2015年.
・井上 雅史 ほか:変形性膝関節症患者における膝周囲筋の筋硬度と疼痛との関連.理学療法学 39巻Suppl.2, 2012年.
・竹井 仁:変形性膝関節症の痛みと筋.理学療法 28巻10号, 2011年.
・赤羽根 信亮:変形性膝関節症の痛みに対する理学療法.理学療法 28巻10号, 2011年(メディカルプレス)
